能力榜から名前が消えたはずのRunwayが、商売で追い上げている。CEOのAnastasis Germanidis氏が9月初めに公表した数字では、年間経常収入(ARR)は2億ドル近くに達し、4月の1億ドルからほぼ倍増した。移動端の月次収入も30日間で270万ドルに伸び、世界トップ3圏に入る。

転換点は5月、「一言で動画を変える」
AppMagicの推移では、5月に収入と取得数が同時に跳ねた。引金は動画をゼロから作るのではなく「変える」特化模型Aleph 2.0の登場である。既存映像の指定要素だけを指示で差し替え、他の画面と動作を保つ能力は「肩にパンダを足す」という分かりやすい演示になり、SNSの自発的な計測動画が第一波を、8月末からの広告投下が第二波を運んだ。
同時に商品の中身は激変した。現在のアプリで既定の動画模型は外部のSeedance 2.0、画像はGPT Image 2で、自社のGen-4.5は手動切替の選択肢に過ぎない。画面は対話式のAgent、従来のプロンプト操作、広告生成や口播動画など用途別のAppsの三構成へ組み替えられている。12月に一時Artificial Analysis首位を取ったGen-4.5も、今は榜の10位に入らない。
一套の架構、三つの商売
企業側の収入は二層ある。第一にAPIのRunway Devだ。模型集約を売りにし、特筆すべきは「模型経路」の機構である。開発者は用途ごとに経路を作り、コスト・速度・質の優先順位と価格上限を設定する。各要求には経路IDが付き、適合しない模型と上限超過を先に排除し、残りを設定の好みで採点して最高点の模型を実行、結果に採用理由と費用を明記する。
| 層 | 顧客 | 提供形態 |
|---|---|---|
| 作成道具 | 個人・小規模 | 購読+クレジット |
| Runway Dev | 開発者 | 集約API+模型経路 |
| 模型承認 | 大企業・組織 | 非公開配備+微調整支援 |
第二に模型の非公開承認である。閉源のKlingやSeedanceはAPI呼び出しのみで配備できず、純オープンソースは調整と運用の負担が企業に降る。RunwayはGen-4.5の重みを企業へ渡し、複数のCheckpointと訓練脚本を添えて技術者を派遣する。生成収入は企業のもの、Runwayは承認料を取る、という中間の道である。CEOによれば、最大の顧客ほど直接承認へ移りつつあるという。利用規模は6,000万クリエイター、Fortune 100の95%が顧客とされ、8月の移動端月次180万ドルは全体の一割程度に過ぎない。
裏の論理と残る問い
同社はAI動画の軍備競争から降り、同じ架構能力を顧客層ごとの納品形態へ包装し直した。模型が強くない代わりに、各層が払う対価の形に合わせた、という設計である。
ただし模型能力が堀でなくなったとき、包装そのものが堀になり得るかは未検証である。創業者は自社を世界模型会社と位置づけ、動画生成は物理世界理解への道に過ぎないと繰り返すが、その未来が来るまでの間は、商業面の差別化で更多の利用反応を集め、模型能力の第一梯隊へ戻る必要がある。
よくある質問
Q. 日本の広告制作で使えるのか。
既存素材の部分差し替えは撮り直しの代替になるため、CM修正やEC素材の量産と相性が良い。ただし日本語の口播や著作権处理は各社の実測が必要で、既定模型が外部品という点も品質管理の前に確認すべき点である。
Q. 他社も同じ道を行くのか。
模型集約型のAPIと企業向け承認の組み合わせは、模倣可能な設計である。差別化は経路機構の評価基準の精度と、承認後の微調整支援の実力に依存する。
編集部の見解
ARRの倍増は、能力榜の順位と事業の成否が別の指標であることを改めて示した。動画AIの購買判断は「どの模型か」から「どの納品形態か」へ移りつつあり、日本の企業は自社の作業量に合う層を選ぶ方が合理的になる。承認形態を検討する際は、微調整後の品質を必ず自社データで実測してから契約に入りたい。
my-best.ai 編集部
出典:36Kr「AI動画、Runwayの逆襲か」(寄稿:白鲸出海、2026年10月29日)
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